男女トラブルでみられる犯罪
弁護士 長島功
男女の交際は基本的には自由であって、内心にとどまる限りは、誰にどんな好意を寄せても、それが法的に規制されることはありません。ただ、外部に表現されるときには、注意が必要です。
特に、交際の解消に際しては、感情的になるあまり行き過ぎた言動をすると、以下のように犯罪になってしてしまいますので、注意が必要です。
1 脅迫罪
生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、害悪を加える旨を告知して人を脅迫すると、脅迫罪が成立します。
生命、身体への害悪の告知というのは、余程のケースですが、不倫などで、「・・・に関係をばらす」等の発言は、感情的になるあまり、安易に言いがちかと思います。
ただ、その内容によっては脅迫罪になってしまう可能性があります。
2 強要罪
脅迫罪と同様に、害悪を加える旨を告知したり、暴行をつかって、人に義務のないことを行わせる等すると、強要罪が成立します。
交際解消の場面で言えば、例えばですが、「会いに来ないと、・・に関係をばらす」などは、強要罪となりかねませんので注意が必要です。
3 名誉棄損罪
公然と事実を適示して、人の名誉を毀損すると、名誉棄損罪が成立する可能性があります。
ですので、別れ際、感情的になるあまり、相手の社会的評価を下げようと、不倫関係にあったことを会社に告げたり、インターネット上に掲示したりすると、場合によっては、名誉棄損とされる可能性があります。
4 侮辱罪
名誉棄損罪は、具体的な事実を示して、人の社会的評価を下げた場合に成立しますが、具体的な事実を示さずに人を罵倒する等、侮辱すると、この犯罪が成立し得ます。
その他、DV防止法やストーカー規制法も、男女間の交際では問題になり得ます。
これらについては、また改めて詳しくご説明をしていこうと思います。