ストーカー行為規制法②つきまとい等の類型
弁護士 長島功
ストーカー行為規制法では、「つきまとい等」として規制の対象となる行為を限定列挙しています。
その上で、同法3条にて、つきまとい等をして、「その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない」として禁止されていますので、順に説明していこうと思います。
1 同法1号
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと
2016年の改正により、「住居等の付近をみだりにうろつくこと」というのが付け加えられました。
男女の交際解消にあたって、一方が別れを受け入れられずに、「家に行く、会社に行く」等と言うケースは非常に多いです。実際に、行くケースというのはそれ程多い訳ではありませんが、例えば、夜間相手の自宅に行って、執拗にインターホンを鳴らす等の行為に及べば、同法3条の不安を覚えさせるつきまとい等として、禁止行為に該当する可能性があります。
2 同法2号
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
3 同法3号
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること
要求をすれば足りるので、特に脅迫したり、暴力を使って強要したりすることまでは不要です。
男女の交際解消の場面では、この類型もよくあり、交際の継続はもちろん、執拗に会って話をすることを要求したり、手切れ金を要求したりすると、その要求の仕方や頻度、態様如何では、やはり3条の不安を覚えさせるつきまとい等にあたる可能性があります。
4 同法4号
著しく粗野又は乱暴な言動をすること
これは乱暴な言葉を使って、大声を出したり、暴力をふるう仕草をしたりすること等を指し、刑法の暴行罪や脅迫罪に至らないものであっても、程度によっては、禁止の対象になり得ます。
同法5号以降は、また次回、順次解説していきます。