ストーカー行為規制法③つきまとい等の類型続き
弁護士 長島功
前回の続きで、「つきまとい等」として、同法が規制の対象としている行為について解説していきます。
1 同法5号
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること
相手が望まないにもかかわらず、接触を続けることを規制するものですので、連絡をする際に、卑猥なことを言ったり、脅すようなことを言う必要は必ずしもなく、内容は特に問いません。無言電話は勿論ですが、ファクシミリ、電子メールについては、例えば、何も書かずに送信をする場合も含まれます。
また、電子メールの送信等には、LINEやフェイスブック等のSNSメッセージ機能を利用した電気通信なども含まれます。
交際解消の場面で弁護士が間に入って、接触を控えるように警告をしているにもかかわらず、何度も本人に連絡を取ろうとした場合には、同号に該当してしまう恐れがあります。
2 同法6号
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
ここでいう「物」には電磁的記録等も含まれるとされています。
3 同法7号
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
対象者の社会的評価を下げ、名誉感情を害することを告げれば足り、事実を摘示することまでは不要とされています。
具体例としては、そういった内容を記載したビラを配ったり、インターネット上に書き込みをする等があります。直接被害者に接触する訳ではないからと、安易にSNSで誹謗中傷することをしてしまうと、名誉棄損罪が成立しかねないのはもちろん、「つきまとい等」として同法の規制も受けることになりかねませんので、注意が必要です。
4 同法8号
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと
「性的羞恥心を害する」というのは、必ずしも刑法上のわいせつ物に至るようなものでなくても良いとされており、望んでいないにもかかわらず、性的に恥ずかしいと思わせるような精神の平穏を害するもので足りるとされています。
典型的には、卑猥なことを電話で話したり、卑猥な写真等をメールで送りつけるといった場合が、同号に該当し得ます。