不倫相手の女性からの損害賠償請求について②
弁護士 小島梓
「不倫相手の女性からの損害賠償請求について①」ご紹介したように、現在の裁判実務に鑑みますと、不倫相手の女性から不倫をした夫に対する損害賠償請求が認容されるケースは非常に少ないのが現状です。
しかし、他方で、不倫相手の男性との交際により無駄な時間を費やしたから、結婚してくれなかったからなどといった理由により高額の慰謝料請求がなされるケースは珍しくありません。当事務所にご相談にいらっしゃる方の中には、請求をされて支払うことに合意してしまったり、すでに支払ってしまった金銭の返金を希望しておられる方もいらっしゃいます。
では、不倫相手の女性から高額の慰謝料請求を受けてしまったときは、どのように対応すべきでしょうか。
基本的に、高額の慰謝料請求をされ、それを支払わなければ会社や妻にばらすなどと言われてしまったときには、ご自身で返事をする前に、弁護士への相談をご検討ください。
金銭を支払わなければ、妻や会社にばらすと言われれば、男性側として怖いのが当たり前です。ご自身での対応を続ける限り、そのようなことをやめてもらいたい一心で、とりあえず支払うと言ってしまったり、支払ってしまったりするのも仕方のない面があります。しかし、ご自身でそのようなその場しのぎの対応を続けても解決しないことが多いです。
法的根拠の有無や資力を考えずに、とりあえず恐怖心から支払う旨の返事だけをしてしまい、後から支払えないとなれば、不倫相手の女性をさらに怒らせることになります。また、書面の取り交わしもなく金銭だけを支払ってしまい、支払ったにもかかわらず、結局妻にばらされてしまったり、追加で金銭の請求が来てしまうなどして何の解決にもならなかったというケースもあります。
このように、高額の慰謝料請求をされた場合、ご自身で対応して解決するのは非常に難しい事態となります。
まずは、一旦弁護士に相談し、不倫相手の女性の請求に法的根拠があるのか否か、金銭を支払う必要があるか否か、仮に支払うのであればどのような方法が良いのかといったことを検討することをお勧めします。
当事務所では、状況に応じて、弁護士がすぐに介入することをお勧めする場合もあれば、やり方をアドバイス差し上げ、今しばらくご本人で対応することをお勧めする場合もあります。無理やりご自身での対応を継続した場合、ご自身の精神的負担も相当なものかと思います。一度、ご相談ください。