再度不倫した場合の違約金の合意
弁護士 長島功
不倫相手との話し合いで慰謝料額について合意に至った場合、示談書の中で慰謝料の支払に加えて、今後自らの配偶者と不倫をしないこと、違反した場合には違約金を支払うことを合意することがあります。
そこで、このような違約金条項に関する法的な問題について今回は解説しようと思います。
1 このような違約金条項の有効性
不倫をした場合の違約金条項については、民法132条との関係が問題になり、裁判例(浦和地裁昭和26年10月26日)でも争われました。
具体的には、同条は「不法な条件を付した法律行為は、無効とする」と定めており、不倫をしたことを条件とした違約金の支払いは同条で無効になるのではないかという問題です。
ただ、ここにいう「不法な条件」というのは、条件自体が不法ということではなく、その条件を付すことで法律行為自体が不法性を帯びることとされています。
そのため、確かに不倫という条件自体は違法なものであったとしても、それを行うことで違約金を課すという法律行為自体が不法性を帯びるとは言えないことから、民法132条により無効とはなりません。
上記裁判例でも同様の結論が出されています。
2 金額について
違約金の金額は当事者間で自由に設定できるのが原則ではありますが、あまりに高額なものを合意すると、不相当な部分は無効になってしまう可能性があります。
再度不倫をしないように牽制するという意味合いで、敢えて高額なものを設定するということもあるかもしれませんが、合意をしたからといって、常にそれが有効になる訳ではないという点は注意が必要です。