コラム

裁判例 男女交際と慰謝料

男性が、自身は独身であると偽って女性と交際し、女性が妊娠に至ったケースで慰謝料を認めた裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁令和元年 8月23日判決をご紹介します。

 被告(男性)と原告(女性)は、結婚相手を紹介するサイトで知り合い、被告は知り合った当初から婚姻を前提とした言動を繰り返していました。
 原告は、被告が独身者であると信じ、被告と交際し、妊娠しました。
 原告は、妊娠したことを被告に告げましたが、被告は、出産直前まで既婚者であることを隠し続け、むしろ、近い将来婚姻することを匂わせる言動をしていました。
 出産後、原告が認知を求めたのに対し、被告は自ら要望したDNA鑑定の実施を撤回し、任意認知を約束したにもかかわらず、結局は認知しないままでした。
 裁判所は、被告が既婚者であることを隠して原告と肉体関係を結んだことにより、原告の人格権は侵害されたと認めることができると判断し、慰謝料として200万円を認めました。