コラム

裁判例 不貞慰謝料請求 男女交際と慰謝料

肉体関係がなくとも慰謝料を認めた裁判例

弁護士 幡野真弥

 不貞行為とは、通常、配偶者が第三者と肉体関係を結ぶことを言いますが、肉体関係がなくとも、不法行為が成立し、損害賠償責任を負うことがあります。

 例えば、東京地方裁判所平成20年12月5日判決は、「被告は、A(原告の配偶者)との間で、婚姻を約束して交際し、Aに対し、原告との別居及び離婚を要求し、キスをしたことが認められ、これらの事実は、少なくとも、Aの離婚原因となる民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の発生に加担したものということができ、原告に対する不法行為を構成するというべきである。」と述べたうえで、被告とAとの間の肉体関係を否定したものの、「性的肉体的交渉自体は認められないが、その余の事実は不法行為を構成するものと認める。」と判断し、不法行為の成立を認めました。

 被告が、原告の配偶者に対し離婚を要求したり、実際に離婚訴訟となっていることも考慮されて、慰謝料は250万円と高額になっています。