和解成立後も関係を継続し、子を出産したケースで、300万円の慰謝料を認めた裁判例
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成29年12月22日判決をご紹介します。
原告は、配偶者Aとの不貞を原因に、被告に対して損害賠償請求訴訟を提起し、この裁判は和解が成立しました。和解では、被告は原告に250万円を支払うこと、被告が原告に対して謝罪するとともに、今後方法の如何を問わず原告の配偶者と連絡を取らないことを確約することを合意しました。
しかし、その後も、被告は原告の配偶者Aと連絡を取りあい、原告の配偶者Aの子を出産しました。
そこで、再度、原告は被告に対して慰謝料の支払いを求めて裁判となりました。
裁判所は「被告がAと原告とが婚姻,同居していることを認識した上で,しかも原告との裁判上の和解において,原告に対して解決金として250万円を支払うこと,Aと不貞関係に陥ったことを謝罪し,今後方法の如何を問わずAと連絡を取らないことを確約したにもかかわらず,Aと継続的に肉体関係を持ちひいてはBを出産するに至り,原告とAとの婚姻関係は原告が離婚調停の申立てをする状態となったということができる。被告の上記一連のAとの不貞行為は,原告に対する関係においてAとの共同不法行為として,それにより原告が被った損害全部を賠償する責を負うべきこととなる。そして,被告とAとの不貞行為の経緯や態様など本件に顕れた一切の事情に鑑みると,原告が被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は300万円と認めるのが相当である。」と判断しました。
高額の慰謝料を認めた裁判例として参考になるものと思います。