約4年の間に、不貞が3回発覚した事例
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成19年 7月31日判決をご紹介します。
原告は、平成14年3月24日に夫Aと被告とが不貞関係にあることを知り、夫に対し、不貞関係を解消するように求めました。夫は、原告のいる前で被告に対し「君とは別れる。」と電話で伝えましたが、しかし、夫は、その直後、被告に対し改めて電話をして、上記電話の内容は本意ではない旨の連絡をしました。
その後、原告は、夫宛に被告から多数のメールがあり、その内容から被告との不貞関係が継続していると判断しました。
原告は、平成15年12月4日、被告に対して、代理人を通じ、損害賠償請求をする旨の通知を行いました。被告は、原告代理人に対し、電話連絡し、夫との不貞関係を解消し、実家に戻る旨を誓約し、勤務先を退職したから慰謝料を支払う経済的余裕がないと説明しました。原告は、これを受けて、被告への損害賠償の訴え提起を留保することとしました。
平成18年4月8日に、原告は、夫の携帯電話に被告から13回着信が入っていることを発見し、また、留守番電話には「もうこれ以上待てないから、帰ります。」との被告のメッセージが入っているのを発見しました。
そこで、原告は慰謝料等の支払いを求めて、被告に対して裁判を起こしました。
裁判所は「被告とAとは、遅くとも平成14年3月ころから平成18年4月ころまで不貞関係にあったのであり、夫婦及びBの3人の幸福な家庭生活を侵害され、それも3度にわたって、Aの背信を目の当たりにした原告の精神的苦痛は大きいものがあるというべきである。被告が原告の有する婚姻共同生活の平和と維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害したことは動かし難い事実であり、原告に対する不法行為を構成することは明らかである。」と判断し、慰謝料は150万円としました。