コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

不貞が発覚した後も夫婦が同居を継続している事案で、慰謝料を150万円とした裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成22年12月 9日判決をご紹介します。
 原告の夫が、被告と不貞行為を行った事案です。
 裁判所は「本件不貞関係が原告に発覚し,原告も関わる形でいったんは解消されたにもかかわらず,わずか2か月程度で再開されたことに加え(中略),原告とA(原告の配偶者)とは,現在も同居して生活しているとはいえ,その内実は,いまだ別居及び離婚に踏み切るには至っていないというにとどまり,婚姻関係の修復は困難な状態にあるものと窺われることを総合的に考慮すると,原告は,被告及びAの本件不貞関係という不法行為により,円満であったAとの婚姻関係が修復の困難な程度に損なわれ,配偶者としての円満な婚姻関係維持という利益を奪われるとともに,自らもうつ病により通院加療を要する状態に追い込まれたということができる。これに対する慰謝料としては,150万円をもって相当とすべきである。」と判断しました。

 ①2ヶ月で不貞が再開されたこと、②別居には至っていないものの、婚姻関係は修復困難な状態にあると窺われること、③うつ病により通院が必要な状態となっていること等の事情が、慰謝料の増額事由となっており、参考になります。