コラム

ストーカー規制法

ストーカー行為規制法①

弁護士 長島功

 ストーカー行為等の規制に関する法律(ストーカー行為規制法、以下、「同法」)は、2000年5月に成立した法律です。
 桶川ストーカー殺人事件等、当時ストーキングが殺人などの大きな犯罪行為につながってしまったケースが相次ぎ発生したことから、成立に至った法律です。

 男女関係の解消の場面等では、このストーカー行為規制法で規制されているストーキングが行われたりするケースもあることから、どういった行為が規制されているのかや、それに対してどういった手続が用意され、被害者がどう保護されているのか等について、今後解説をしていこうと思います。

 初回は、ストーキングの目的についてお話しします。
 待ち伏せや見張りといった、いわゆるストーキングが、同法で規制対象にされているのですが、これらの行為が常に同法の規制対象になる訳ではなく、ある一定の目的を伴っていることが必要です。
 同法2条1項では、あくまで「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要とされています。
 恋愛感情の他に「その他の好意の感情」が挙げられていますので、たとえば芸能人等への憧れのような感情も含まれます。
 また、怨恨の感情は、自分の好意が受け入れられなかったことによることが必要で、好意の感情から転化して怨恨の感情に至ったものであることが必要です。

 このように、客観的な行為として、ストーキングがあっても、それがこの目的を伴っていない場合、別の犯罪に抵触するかは別として、少なくともストーカー行為規制法による規制は受けないことになります。
 したがって、例えばですが見張り行為等があっても、それが誘拐や窃盗を目的としたもので、上記恋愛感情等を充足する目的がなければ、同法の規制は受けないことになります。
 

 次回は、具体的に規制の対象になる行為について、お話ししていこうと思います。