既婚者であることを隠して交際し、妊娠・中絶に至った裁判例
弁護士 幡野真弥
男性が、自身が既婚者であることを隠して交際し、女性が妊娠・中絶に至った事案の裁判例として福岡地方裁判所令和 3年 3月29日判決をご紹介します。
裁判所は「被告は,実際には結婚しており,原告と結婚する意思がないのに,これを隠して,独身であり,結婚する意思があるかのように装って,原告にその旨誤信させて,結婚の期待を抱かせ,被告との性交渉を伴う関係を維持させたものであり,このような,被告の言動は,遅くとも,独身であるかのように装い,結婚を期待させる発言をするようになった平成31年11月末頃以降は,原告に対する関係で,性に関する意思決定の自由及び人格権を侵害する不法行為を構成するというべきである。」と判断しました。そして、妊娠中絶関連費用13万6380円、慰謝料80万0000円を認めました。