夫の不貞相手が、妻に対し、探偵社による調査に関して損害賠償請求をした裁判例
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成19年5月10日判決をご紹介します。
妻が、夫の不貞相手に対し、慰謝料を請求したところ、夫の不貞相手は、「探偵社をして旧被告宅の周辺及び玄関部分等を監視させ,被告の動向,旧被告宅に出入りする者の有無等を調査させ,さらに,無断で写真を撮影させ,もって被告のプライバシー権を侵害し,被告に大きな精神的苦痛を与えた。」等と主張して、妻に対し反訴を提起しました。
裁判所は「旧被告宅が探偵社による調査の対象となったのは,原告がAの行動調査を依頼したところ,Aが深夜に旧被告宅に赴いたことによるものであり,また,探偵社による調査は,Aを尾行し,旧被告宅があるマンションの共用部分に立ち入り,旧被告宅の玄関を外側から写真撮影するなどの方法で行われている(略)。そうすると,原告が調査を依頼したことには相応の理由があったということができるし(略),調査の方法も格別不相当なものとは認められない。これに加え,被告が旧被告宅に連日のようにAを招き入れるなど親密な関係になったことが原告に対する不法行為と評価されることを考慮すると,原告の上記行為に違法性があるということはできないと解するのが相当である。」と判断しました。
探偵会社による調査について、調査の理由や、調査方法の相当性を考慮して違法性の有無が判断されている裁判例です。一般的によく行われている方法の調査であれば、違法性が認められる可能性は低いと考えられます。