原告の感情の起伏の激しさが原因で婚姻関係が破綻したことを不貞慰謝料算定にあたり考慮した裁判例
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成22年11月30日判決をご紹介します。
原告(妻)が夫の不貞相手に対し、慰謝料を請求した事案です。
婚姻関係破綻の主たる原因は原告の感情の起伏の激しさにあったこと、被告は夫Aから婚姻関係が破綻していると聞かされていたこと、交際が開始された頃には原告と夫Aの婚姻関係は危機的状況にあったこと、夫Aが被告との同居を開始したのは原告代理人弁護士から、婚姻費用・財産分与等の提案の通知を受けた後のことであることが認められること、その他の事情を総合考慮すると、原告の精神的損害を慰謝するには50万円が相当であると判断されました。
不貞が原因で婚姻関係が破綻した場合、慰謝料は高額になる傾向があります。本件では50万という金額にとどまった理由としては、「婚姻関係破綻の主たる原因は原告の感情の起伏の激しさにあった」「交際が開始された頃には原告と夫Aの婚姻関係は危機的状況にあった」という事情が大きかったものと思われます。