コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

訴訟を提起されても不貞関係を継続させたこと等を慰謝料の増額要素とし、200万円の慰謝料を認定した裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成26年 4月30日判決をご紹介します。

 事案の概要は、以下のとおりです。

・原告は、平成10年、夫Aと結婚し、二子をもうけけました。
・被告は、Aと同じ勤務先で勤務していました。
・被告は、平成24年6月頃、Aに妻がいることを知りながら、同人と肉体関係を持ち、少なくとも平成25年の末頃まで同関係を継続していました。

 裁判所は「原告とAは,2人の子どもをもうけ,約15年にわたり,円満な家庭生活を継続していたところ,被告とAの本件関係により原告とAの夫婦関係はぎくしゃくし悪化したこと,被告は本件関係の維持に積極的であり,訴訟を提起されても本件関係の存在を認めないばかりか,これを解消せず,本件関係を継続させたことなどの事情が認められ,他方,原告とAは本件関係により離婚するまでには至っていないことや原告がAに対し損害賠償請求をしていないことが認められる。これら一切の事情を考慮すると,本件関係により原告が被った精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は200万円をもって相当と認める。」と判断しました。

 不貞関係が発覚した後も、夫婦が同居を継続している事案ですが、被告が関係を否定し、裁判となった後も不貞行為を継続したことが、慰謝料の増額事由となり、200万円まで金額があがったものと思います。