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不倫相手から「妊娠したかも」と言われた

目次

1. はじめに

不倫相手から、「妊娠したかも」と言われた場合、本当に妊娠したのだろうか、何をどう話し合えば良いのだろうか、出産したら、その先どのような責任が自分に発生するのだろうか等、多くの不安が頭をよぎるかと思います。
ただ、不安ゆえにパニックになって誤った対応をしてしまうと、より大きなトラブルになりかねません。また、お客様がパニックになってしまうことで、意図せずして不倫相手をより一層傷つけることになりかねません。妊娠という事実が絡んでいる場合には、不倫相手も通常より精神的に不安定になりがちですので対応にはより注意する必要があります。
そのため、お客様ご自身での対応が困難と判断された場合には、早期に一度ご相談いただければと思います。当方では、タイミング等はご相談となりますが、基本的には、お客様と不倫相手との間に入り、一度、直接の接触をやめていただくことで、冷静な判断、対応をお手伝いするようにしております。
本ページでは、このような状態になってしまったときに、気を付けなければいけないことや、実際にどんな選択肢があるのか、出産に至った場合に必要となる手続等について、以下解説していきます。
まずは、以下の記事をお読みいただき、冷静になっていただき、弁護士に依頼するという選択肢もあるという前提で、今後の対応を検討いただければと思います。

2. まず行うべきこと

まず行うべきは、妊娠の事実の確認です。不倫相手から告げられたことで、それを前提に色々悩んだり、話合いを進めようとして無用な喧嘩をしたりされているケースがありますが、妊娠の事実をご自身で確認することは話し合いの出発点です。
これまで取り扱ってきた経験上、不倫相手から妊娠を告げられたとしても、実際には妊娠をしていなかったケースもありました。エコー写真や母子手帳、妊娠検査薬の写真等を見せられたケースもありましたが、必ずしも妊娠しているとは限りません。
ご自身の中で、妊娠の事実にしっかり向き合うためにも、不倫相手からの情報に依存するのではなく、お客様ご自身で直接妊娠の事実を確認するようにしましょう。
方法としては、不倫相手の方と一緒に病院に行き、医師から直接妊娠の有無を確認するのがベストです。通常であれば、不倫相手の方も安心でしょうし、病院で直接確認をするのが、もっとも信頼度が高いからです。
ただ中には、一緒に病院に同行することを拒絶する方もおり、お客様ご自身で確認をすることが困難なケースもあります。そういった場合は一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

3. 実際に妊娠していた場合

妊娠が間違いであれば、それで良いですが、実際に妊娠をしていた場合、どのように対応をしていくべきでしょうか。

  1. 話合い

    当然ではありますが、お腹の子を出産するのか否かを決めなければなりません。そのため、早々に話し合いをするべきです。
    通常の男女間での妊娠とは異なり、不倫の場合、出産は配偶者や配偶者との間の子等に大きな影響を与えます。また、不倫をした側からの離婚の請求は、有責配偶者からの離婚請求として認められませんので、不倫相手が妊娠したからといって、お客様が妻と離婚して、不倫相手と再婚することも、現実的には相当ハードルがあります。そのため、お客様が中絶を希望するのであれば、その意思を不倫相手に伝えることは、それ自体構いません。
    ただし、最終的に出産をするか否かの決定は、事実上、妊娠をしている不倫相手の方にあります。そのため、お客様の考えを伝えるのは良いのですが、話し合いの域を超えて過度に要求することは、絶対に止めましょう。
    また、妊娠をしたことについては、お互いが同意の上で行っていることなので、それ自体が不法行為となる訳ではありませんが、法律上は、その後のケアが男性側には求められます。妊娠による精神的・肉体的負担は、女性がその殆どを負うので、男性側には、その負担を軽減する義務があるとされており、これに違反すれば、そこに不法行為が成立します。
    そのため、話し合いが平行線になるからといって、相手からの連絡を無視し続けたり、威圧的な言動をしたりしますと、それが不法行為と評価されるケースもあります。お悩みの方は、ご自身で判断して動く前に、まずは弁護士にご相談ください。

  2. 中絶する場合

    この場合、中絶の際の医療費について一定程度男性側も負担をするべきでしょう。
    中絶に伴って生じる精神的・肉体的負担は、基本的に女性が負うため、中絶に伴う費用負担はできる限り男性側が負担するのが、現実的には公平といえるかもしれません。
    また、中絶手術ができる時期は、母体保護法によって、妊娠22週未満とされています。この時期を過ぎると、中絶手術は認められていません。母体への影響もありますので、中絶するのであれば、早期に病院へ行く必要があります。

  3. 出産することになった場合

    1. 認知
      認知というのは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、主に父が自らの子と認めることです。まさに不倫相手との間に子ができた場合には、子の認知が問題になってきます。

      1. 認知にはどのような効果があるのか
        認知をした場合、どういった法律上の効果が生じるのでしょうか。認知は、生まれてきた子が自分の子であると認めることで、これにより法律上の親子関係が認められます。
        その結果、子を扶養する義務が生じますので、養育費を支払わなければなりませんし、将来お客様が亡くなれば、認知をした子も相続人となります。
        また、認知をするとそれがお客様の戸籍にも記載されますので、認知をするにあたっては、これらを十分認識した上ですべきでしょう。

      2. 認知の手続
        お客様ご自身が任意に認知をする場合には、認知届をお客様の住所地または本籍地の市区町村役場に提出して行います。これを任意認知と言います。
        また、お客様が、この任意認知を拒否した場合には、不倫相手の方から認知請求の調停を起こされる可能性があります。そして、その調停の中でも認知の合意ができない場合には、認知を求める裁判が起こされるという流れになります。
        最終的に裁判で、親子関係が認められれば、強制認知といって、お客様の意思に反しても認知がなされることになります。

      3. 任意認知をするべきか
        では、不倫相手から認知を求められた場合、当然に認知をするべきなのでしょうか。
        先ほど記載したとおり、認知には、非常に大きな効果を伴います。そのため、親子関係に疑いを全く持たない場合は別として、原則としては、DNA鑑定により親子関係を客観的に確認した上で行うのが望ましいです。
        また、DNA鑑定により親子関係が明らかになった場合には、仮に任意認知をしなかったとしても、上記のとおり裁判を経て結局強制認知されます。
        ですので、DNA鑑定により、親子関係が明らかになった場合には、任意に認知をするのが望ましいといえます。

    2. 養育費
      認知によって、お客様には扶養義務が発生しますので、お子様の養育費の負担義務を負います。
      養育費の金額は、お客様の収入と不倫相手の方の収入をベースに計算されますが、出産直後の不倫相手の方の収入状況や、お客様の他の扶養家族の有無によっても金額は変動します。
      そのため、金額を決める前に、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

4. まとめ

妊娠というのは、お客様にとっても不倫相手にとっても一大事です。色々な意味でご不安になられて当然です。
ただ、焦ってパニックになってもよいことは何もありません。事態は悪化するだけです。ご自身で対応されようとして、不倫相手につい強い口調で詰め寄ってしまい、後悔されているお客様も見てきました。
お客様お一人では冷静な判断ができなくなっている、不倫相手が冷静さを失っていると感じられたら一度ご相談ください。対応を一緒に検討させていただき、状況に応じて、弁護士が間に入り、直接の接触をやめていただくことで、お二人に冷静なお話を促すなどして、話合いのお手伝いをさせていただきます。